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「かがみの孤城」あらすじと感想。クライマックスに鳥肌立ちっぱなしの物語【本屋大賞2018】

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読者
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本屋大賞受賞で話題だけど面白いのかな?一体どんな作品なんだろう?

2018年本屋大賞に輝いた、辻村深月さんの「かがみの孤城」を遅ればせながら読みました!

もう面白すぎて、早くこの作品に出会いたかったです。

特に子どものいる親御さんには是非読んでほしい作品。とにかく最終章が怒涛の展開で、驚きの連続です。

読了後は、心が澄み切るような気持ちになれました。

もう早くレビューしたいのでいきましょう!

ネタバレなしなのでご安心を!

「かがみの弧城」あらすじ

本屋大賞とは「全国の書店員が選ぶ1番売りたい本」という文学賞。過去の受賞作は映画化されるなど、長く話題になっていきます。

著者の辻村深月(つじむらみづき)さんは1980年生まれの女性小説家で、若者の繊細な心情をリアルに描くのが得意とされています。

「かがみの孤城」も、辻村さんの素敵な人物描写が随所にあふれている傑作。

それではあらすじを紹介しましょう。

入学早々、学校の同級生から嫌がらせ受け、家に閉じこもる生活を送っていた中学1年生の安西こころは、ある日自分の部屋の鏡がまばゆい光を発していることに気づく。
恐る恐る鏡に手を触れた瞬間、こころは見知れぬ城がそびえ立つ異世界に引き込まれてしまう。
「オオカミさま」と呼ばれる城の管理人と、こころに似た境遇の7人が過ごす世界。
そこでは「願いの鍵」を見つけた者が、何でも望みを叶えられるという。
果たして「願いの鍵」は見つかるのか。7人が城に集められた驚くべき理由とは。
引用元:ポプラ社

「かがみの孤城」は554ページもある大作ですが、一気読みしてしまうほど面白いです。読み終わってから冒頭を見返すと鳥肌が立ってしまいますね。

「かがみの孤城」感想まとめ

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「かがみの孤城」を一言で表すと、「どんなに苦しくて塞がれた状況でも、必ず救ってくれる存在が身近にあることを気づかせてくれる作品」です。

特に素晴らしいポイント5つを紹介します。

超大作なのに一気読みできる

「かがみの孤城」は総ページ数554ページと超大作にも関わらず、一気読みしてしまうほど引き込まれます。

ストーリーは終始こころの視点から描かれ、登場人物の心情や場面ごとの情景が容易に想像できます。

また言葉の選び方や文章のリズムが良く、非常に読みやすいです。

人物描写がリアルで繊細

登場人物は中学生7人のほか、こころの両親、こころの同級生、フリースクールの先生、担任の先生など多く出てきますが、混乱することはありません。

それぞれの特徴を捉えた人物描写が秀逸なので、自然と把握できます。

こころの心情は、人に対する率直な嫌悪感から嬉しさまで、繊細な描写であふれています。

私はこころの気持ちに共感するところが多く、自分も昔は同じような考え方をしていたことを思い出しました。

そして学校を取り巻く登場人物のリアルな描写は、著者が教育学部出身であることからも熱量が感じられます。

思ったことをその都度咀嚼して、悪い方向に行かないよう必死になるこころたち。

仕事が忙しく、時には不機嫌になりながらも結局は娘の味方であるこころの母親。

不登校の生徒の気持ちに寄り添うことなく、義務感だけで家庭訪問する担任教師。

学校とは違うフリースクールという立場で、不登校の生徒を理解し心から寄り添ってくれる先生。

これほどまでにキャラクターをみずみずしく描き切る技術には驚嘆しました。

童話をモチーフにしているから謎解きに深みがある

物語は「鍵を探す」という設定ではありますが、鍵を探す行為自体はそこまで重要ではないため、ミステリー的な要素は少ないです。

けれども、鍵のありかは有名な童話をモチーフにしているので、全体に深みを持たせてくれています。謎解きという見方も十分にできて面白いです。

伏線が随所に散りばめられている

一度読み終わったあとに再び読み返すと、冒頭から伏線が散りばめられていることがわかります。

謎解きに重要となる童話がいくつか出てきますし、「オオカミさま」や子どもたちのセリフにもヒントが隠されていることが多いです。

その伏線もきれいに回収されていくので、モヤモヤが残ることなく読み進められます。

ラストに鳥肌立ちっぱなし

この作品のハイライトは、何といっても終盤の怒涛の展開。

物語は中学1年のこころが不登校になった4月から翌年3月まで、1ヶ月ごとに区切られて進んでいきますが、最後の3月が始まる時点でまだ全体の3割もページ数が残っています。

3月→閉城→エピローグまでがとにかく驚きの連続。

こころ以外の6人の辛い境遇は、この時点になってようやく描かれます。

この場面の6人の心情描写は恐らく著者の真骨頂。時間を忘れて読むのに没頭してしまうほどです。

6人の誰もが逃げ出したいけど逃げ出せない状況。

しかし読んでいると、どこと無く違和感を感じます。

その違和感が全て繋がった時、7人が孤城に集められた理由、オオカミさまの秘密が明らかになるのです。

「かがみの孤城」刊行記念インタビューでは、ラスト10ページを1番読んで欲しいと語った著者の辻村深月さん。

その言葉通り、ラストシーンでは心が隅々まで晴れる感覚を体験できます。

少し注意点としては、描写がリアルなので嫌な経験がある人は思い出してしまうかもしれません。

けれども「かがみの孤城」は、その経験にも勇気を与えてくれる素敵な物語です。

読み終えてすぐ再び冒頭のプロローグを読むと、今まで感じたことないほどの鳥肌が立ちます。

二度読みも楽しめる、あまりにも素敵すぎる作品です。

著者 辻村深月さんの刊行記念インタビューで印象的だった話

youtu.be

辻村さんは自身の中学時代について、当時どうしようもない時に救ってくれたのが「本」という存在だったと語っています。

辛い境遇にあっても、身近に自分を助けてくれる何かがきっとあるということを伝えたいという辻村さんの勇気付ける気持ちは、痛いほど感じられました。

また、ラスト10ページを読むと、この作品が子どもだけに向けて描かれた作品ではないことがわかってもらえると辻村さんは言います。

「悩んでいる子どもが近くにいたならば寄り添ってあげてほしい」。かがみの孤城はそんなメッセージが込められた、大人こそ読むべき作品です。

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